パパはギャンブル依存症

依存症者を抱える家族の話

初めての裏切り

2010年2月

結婚して2ヶ月が経過した。

長女を出産して2ヶ月足らず。積雪も寒さも1番のピークを迎え、当時は自分が普段使える車がなかったので、徒歩圏外の銀行まで行くのは大変と言うことで、長男の入園費と毎月の生活費引落しに必要な18万円を、パパの仕事の休み時間を使って、とある銀行から別の銀行へ移して欲しいとお願いした。

 

その後、消えたお金のことを引き落としの段階で私が気がついたのか、戻ってきた通帳に入金記録が記載されていなくて気がついたのかは思い出せないのだが、とにかく入金されているはずの18万円が入っていない!!となり、パパに尋ねてみた。

 

すると「駐車場を挟んだ敷地内にある銀行間を移動する間に、路上でスリに遭ったけれど言えなかった」との事。

 

そのまま18万円が根こそぎ無くなる。

 

最初の結婚相手が全面的に嫁が家計を握るのが当たり前との考えの人で、必要以上の贅沢をしたり、家計に迷惑をかける人ではなかったけれど、貯金や将来必要になるものの話など、家族でのお金の使い道を共有出来る関係ではなかったため、再婚した今回は家のお金の流れを夫婦で共有したいと話していたので、金銭的なことに関してパパのことを無条件に信頼していた。

 

2人目も産まれて幸せな結婚生活も始まったばかり。

 

元々、私が人の話すことを疑わず素直に受け取る性格な事もあり、1番近くにいる人間が自分を騙そうとしているなんて微塵も疑わなかった。

 

私「警察には連絡したの?」

パ「連絡して、探してくれてるけれど、犯人特定するのは難しいみたい。」

 

そんな不毛なやりとりをしつつ、目の前にいる人が嘘をついてるなんて微塵も疑わなかった私は、とにかく入園費と引き落とし分を早急にどうにかしなくちゃ!と思い、貯金を切り崩して18万円を補填した。

 

 そもそも自分がギャンブルに全く興味がないので、当時の給料1ヶ月分に相当する額を、ギャンブルや浪費に使えるなんて全く思いも寄らなかったのだが、ギャンブル依存症者にとっての18万円を使う行為は普通の人がコンビニでアイスクリームを買うくらい簡単なものだった。

 

今考えても本当にもったいないし、本当に悲しい。この時、私がした『焦ってお金を補填した行為』こそ依存症者の家族が陥りがちな『共依存』。

 

パパとの関係が『依存症者と共依存症者』になった瞬間だった。