試行錯誤のお小遣い制度
ギャンブル依存症がわかるまでの間は、パパが自分で持つお金について、本当に様々な方法を試した。
月単位で渡す、週単位で渡す、日ごとに渡す、10日おきに渡す、全て任せてみる、必要な時に申告してもらってから渡す等々。。
本当ーに考えられる限りの試行錯誤をして来たのだが、全て無駄だった。
これについても、ギャンブル依存症者特有の金銭管理の出来なさ、お金を使うことに対しての優先順位がおかしいところから来ているようなのだが、ギャンブル依存症という病気がどういうものなのかが分かるまでは、パパのお金にまつわる行動が本当に理解不能だった。
『持ったお金は全て使ってしまう』
ギャンブルをしていようが、ギャンブルをしていなかろうが、有り金は全て使い切る行為は変わらないので、余裕を持たせる意味で多目に渡すと、渡した分が全て消えていった。
その『余裕分』の使い道は不透明。
使ったのはパパなのに、本人は何に使ったのか全くわからないとのこと。
「自分の持ち金がいくらかわからない、もちろん自分のした借金の額もわからない」
これもギャンブル依存症者には、ありがちなことの様で、ギャンブル依存症が分かった始めの頃に、パパが本人の自助グループへ行った時、すごく共感して帰ってきた。
「本当にわからないから、いくら使ったのか、いくら借金があるのかを問い詰められても困る」
。。らしいです。
依存症は『脳の病気』と、色々と勉強する中で理屈では理解出来るようになっても、散々周りに迷惑をかけていても、
『自分のしたことがわからない』
なんて、やっぱり都合が良すぎると思ってしまう私もいる。
依存症を知るうちに、ギャンブル依存症者が様々な犯罪に関わっているケースがあることを知ったのだが、海外では裁判沙汰になった時に『ギャンブル依存症』という診断があれば、それを考慮して判決が下されることがあると言う話を聞いた。
日本ではまだ病気としての認知度は低いので、ギャンブル依存症は「意志が弱い」「甘えた人間」と捉えられる方が圧倒的に多いので、そういった判決が下ることはない。
身近にギャンブル依存症者を抱えている私でも「病気の症状なのだから仕方ない」と100%理解してあげることが出来ないので、世の中の反応は当然のことだと思う。
そう考えて行くと、ギャンブル依存症者の生きにくさも理解出来る気がする。
話が逸れてしまったが、ギャンブル依存症者が金銭管理を出来るようになる道のりは相当険しいものだと思う。
依存症から回復をした「元・依存症者」の中には、金銭管理が出来るようになる人も稀にいるらしいが、基本的には共通した特徴としてギャンブルが止まっている状態でも、金銭管理は出来ないと考えていた方が賢明なようだ。
成人した大人の金銭管理にまで気を配らなくてはいけないなんて、ギャンブル依存症者の身近にいる家族にとっては、面倒臭いこと極まりないのだが、これも病気の一環と思って付き合っていくしかない。
半年間、ギャンブルや借金が止まっている(はず)のパパに「お小遣い欲しいって言ってたし、お金のこと話し合ってみない?」と聞いてみたのだが、本人はここ半年間続けている「決まった少額のお金を渡し、無くなったらまた同じ少額を渡す」「何か欲しい時は別で言う」スタイルが良いと言っていた。
「お金を持つと、持っているだけぜんぶ使ってしまう」
とのことだった。
ちょこちょこ渡すことが面倒なので、月額で一定にしてその中でやりくりして欲しいなぁなんていう私の願いはまだ叶うことはなさそうだ。