パパはギャンブル依存症

依存症者を抱える家族の話

『過去の栄光』がある人

これは初めて精神福祉保健センターで、パパ、義母、私の3人と精神科医と話をした時の事です。

 

それまでそういった行動を繰り返すパパを

 

『意志が弱い人間』

 

だと思い続けていた私は、何か精神科医に聞かれた時に、

 

「精神的に弱いところがあるんだと思います。」と告げました。

 

すると精神科医が、

 

「いえ、その逆です。精神的に強く諦めることが出来ないから突き進んで行ってしまうんです。」

 

と、言いました。

 

私は目からウロコ状態で「そうなのか!」と思いました。

 

その時に精神科医が、スポーツ選手を引退した薬物依存症者の話を例に挙げて説明してくれました。

 

そこには『過去の栄光』が忘れられず、現実とから逃げ、実像と自分の思っている自分像の間で苦しんでる人の姿がありました。

 

その後、ある友人から借金を繰り返して家族を振り回した後に蒸発してしまった人の話を聞いたのですが、そこにも『過去の栄光』が伺えるエピソードがありました。

 

スポーツ選手も友人の話の人も、共通して過去に誰もが羨むような順風満帆な輝かしい人生がありました。

 

ですが、そんな輝かしい人生の最中に何かしらの理由でつまづいてしまった時、現実を真正面から受け止めることが出来ず「自分はこんな人間じゃない」「もっと出来るはずだ」と、どんどん現実から遠のいてしまい、実像の自分と自分の中の自分のギャップが生まれて、そのギャップを埋めるかのように、何かに依存していってしまうのではないかと思いました。

 

どうしてそう思ったのかと言うと、パパにも当てはまっている部分が多々あったからです。

 

運動神経が良く、小さい頃からスポーツが得意なパパは小学校に時代にサッカー少年団に所属していました。上手だったらしいパパは、周りの期待や自分は人より上手いという自負があり、選抜チームに選ばれたり、小学、中学生の頃はキャプテンを務め、小学校でも児童会長を務めるなど、それはそれは輝かしい幼少期を過ごした様です。

 

ですが、人前に立ってみんなを引っ張っていくような性格ではないパパは周りの期待に応えられない自分や、大好きだったサッカーにも限界を感じて、高校入学を期にサッカーを辞めます。

 

高校時代はバスケ部に所属し、趣味のバンドに熱中し、部活引退後は高校生なのに、社会人の初任給くらいの給料を稼ぎ、バイト先の社長さんに全社員の前で褒められるほどバイトにも精を出していたようです。

 

パパの話は元々自慢話のような話ばかりで、何をしてもそれなりに結果を出して、人様から褒められ続けて来た人生だったと思わせられる内容ばかりでした。

 

私は単純なので「へー!すごいねー!」と聞いていたし、それはそれで良いと思っていましたが、その輝かしい人生が自分の素を曝け出さない、何か過ちを犯しても現実を受け止められずに嘘で塗り固めてしまう人物を作り上げてしまったようです。

 

「人より出来る」という感覚がパパの人生を邪魔し続けてるように感じます。

 

お金の使い方でいうと、高校時代に全日制の高校に通いながらも社会人の初任給くらい稼いでいたパパは、稼いだお金をお小遣いとして丸々使っていたとのことです。

 

多分、平均的な高校生のお小遣い6〜10倍の額だと思います。

 

使い道はバンド関係のお金や、ご飯代など「お金のない友人達に奢る」がメインだったとのこと。

 

この「お金のない友人達に奢る」というのが、私は気になりました。

 

使えるお金が限られてるなんて、バイトもしていない高校生なら当たり前だし、バイトをしていても全日制の高校生が手に出来るバイト代がどのくらいかは想像がつきます。

 

その頃からパパは『自分の身の丈以上のお金を使う』ことに、喜びなのか優越感なのかはわからない感情を感じていたようです。

 

これが後に『借金をしてでも人前でいい顔をする』姿のベースになります。

 

何かで輝かしい成績を残したり、どんどん上達していく人は、競争心が強く、負けず嫌いな印象がありますが、そのベクトルがどこに向かうかによって人生が全然違ったものになるんだなぁと感じます。

 

パパはこの後に高校を卒業して、希望していた職種に就くことになります。

 

そこはパパが生まれ育った街とは違い本当にド田舎で、寮生活を送りながら、社食でご飯を食べ、休みも少なくハードな仕事内容といった職場でしたが、憧れの職業についたのもあり、現在も仕事内容への興味は尽きず、10年経った今も楽しみを持って働いています。

 

19歳当時の寮生活の頃は近場に娯楽がなく、社食も美味しくないので、仕事後は先輩達とご飯を食べに行って、パチンコやスロットに行く事が定番の夜の過ごし方になっていたようです。

 

負けず嫌いなパパはパチンコやスロットに思考覚悟し、研究?し、勝ち続け、ギャンブルによって当時の給料の10倍ほどの貯金をしていたらしいです。

 

この話も本人にとっては自分の成功体験の1つで、この経験がギャンブル依存症を発症させ、その後に進行していくキッカケになっているとの認識は薄いようです。

 

私は競争心も乏しく、全然負けてもいいタイプだし、幼い頃から今流行りの「毒親」に振り回されて生きてきていたので、挫折したり過ちがあっても真正面から受け止めるし、逆に褒められることや成功体験を上手に受け止められない部分があるので、挫折や過ちがあった時に、それを必死に見ないような、なかったものにしてしまうような姿には疑問しかありませんが。。

 

依存症を引き起こす要因は様々だと思いますが『逃避型』の典型のようなパパの話はよくあるパターンなのではないかな?と思い、今日のブログのお題にしてみました。